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両手から繰り出される拳打と、両足から突き上がる蹴り。周囲を駆け回りながら放たれるシンの攻撃に、ガーゴイルはサンドバッグ状態だった。
だがオレ達が引くほど驚いたのは、他でもないサンドバッグと化したガーゴイルの傷。
顔の半分、左肩、右脇腹、背中、左膝。そのどれもが、まるで破裂したかのようにぐちゃぐちゃに潰れていたからだ。醜い顔がさらに醜くなり、誰かに見せていいようなものではなくなってしまった。
こうなってくるとガーゴイルが哀れだが、その傷を負わせた張本人に攻撃の手を緩めるつもりはないらしい。
「もういっちょ!」
今度の攻撃は背後から。ガーゴイルの懐に潜り込んだシンは、オレ達から見て右側から顔を覗かせ、ガーゴイルの左脇腹に拳を叩き込む。その際、シンの腕に装着された籠手が淡い輝きを纏い、拳が触れた箇所が爆発したように砕け散った。
その流れのまま、シンは左足を軸に半回転。遠心力を使った回し蹴りでガーゴイルを蹴り飛ばす。今回の攻撃は爆発したような様子はなかった。
「ふむ……」
さっきの攻撃と今の攻撃を比べるに、十中八九、あの強力な攻撃が武器の能力だろう。どこまでも攻撃的だな、アイツの武器は。
「クラッド!」
そんなことを思っていれば、丁度その人物からお呼びが掛かる。籠手に向けていた視線を上げると、半身になったシンが地面を転がるガーゴイルを親指で指しながらオレを見ていた。
オレが行けってか?
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