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その一言により、今までどこかふざけていた雰囲気が一変して張り詰める。オレの眼前で暴れていたシルフも大人しくなり、自ら身を引いて離れて行く。
さすがは属性神と言うべきか。こんな光景に慣れているはずのオレも、普段とレベルの違う変わり様に戸惑いを隠せない。
「そうだな。少々ふざけが過ぎた」
この時になって漸く、今までまともにオレを見ようとしていなかったイフリートがこちらを向いた。自身の司る炎のような色合いの瞳が、真っ直ぐにオレを射抜く。
「そういえば、まだ貴様の名を訊いていなかったな。名は何だ?」
威厳に満ちた声はあくまで上からの物言い。神様相手に自分が上とは言わないが、オレ達の関係上、さすがに下過ぎるのはマズいだろう。
「クラッド。クラッド・クロムウェルだ」
故に、例え属性神が相手でも、臆することなくはっきりと答えてやった。まぁ、最初から臆してはないんだけどな。
「クラッドか、覚えておこう。我らのことはもう知っているだろうからな、紹介は省かせてもらうぞ」
それに対し、イフリートは特に表情を崩すこともなく淡々と言ってのける。属性神の中でもリーダー的立場みたいだからな。シルフみたいに対等な関係を築くには時間がかかりそうだ。
漏れるため息を隠すことなく吐き出し、さて……と気持ちを切り替えて本題に踏み込む。
「儀式の時はゆっくり話せなかったからな。『覇王』についてだっけ? 教えてもらおうじゃねぇか」
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