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「罰として、これからオレが出す問題に答えてもらう。全問正解できたら見逃してやろう」
「うへぇ……」
ニヤリと笑みを浮かべるシド先生とは逆に、オレの表情は暗い。自分で言うのもなんだが、オレは身体を動かすのは得意だが勉強は苦手だ。魔法に関する知識なら大丈夫だが、それ以外がちょっとな……。
当然担任であるシド先生はそのことを知っている。だからこんな提案をしてきたに違いない。鬼め……。
「じゃあ問題。魔力とは何だ?」
一体どんな難問を出されるのかと思いきや、あまりにも簡単な問題に思わず拍子抜け。こんなの、学園で習う以前の問題だ。
ちなみに、オレが通っているのはセントレス学園と呼ばれる所だ。ここ、王都シルメシアにある唯一の魔法学校。15歳で入学し、下手なことをしなければ18歳で卒業できる。
ついでに言うと、オレは16歳。セントレス学園の二年生だ。
「魔力とは、魔法を使うために必要な、人間に宿っている潜在的な力のことです。魔力の量は人によって様々ですが、どんな小さな魔力でも必ず宿っています。主に肺から放出されるため、使い過ぎると呼吸が乱れます。使用後は時間経過により回復するのが特徴です」
ざっとこんなもんだろうか?
他には無かったか考えていると、シド先生が頷いたため、この問題は終了と判断。さて、次はどんな問題だ?
「では、魔法とは何だ?」
これまた簡単な問題。何か裏がありそうで恐ろしい。
「魔法とは、体外に放出した魔力を呪文の詠唱で形にしたものです。初級、中級、上級、最上級と4つの位に分けられ、上にいくほど消費する魔力の量が増え、詠唱も長くなり、難易度も上がります」
言葉を切る。けれど先生は何の反応も示さない。もう少し説明しろってことらしい。
「さらに、慣れてくると、消費魔力を増やすことで詠唱を省く、詠唱破棄が可能になります。実際の戦闘では、隙を作らないようにするため、詠唱破棄での攻撃が基本です」
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