司る者達

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 ◆ ◆ ◆ ◆  時刻は8時半。教室内に、スピーカーから流れるチャイムの音が鳴り響く。けれど、この場に彼の姿はなかった。 「クラッド来ないね……」  思わず口に出して呟くと、私の言葉に反応したシンが口を開く。 「どうせ寝坊して、今頃走ってるさ」  彼は何食わぬ顔でそう言い、大きな欠伸を漏らす。そういえば、最近寝不足だって言ってたっけ。でも昨日はご飯の前に寝てたみたいだけど、それでも疲れてたのかな? 「これからはエレナが起こしてあげたら?」  唐突に耳に届くセリスの声。その言葉によって疑問は吹き飛び、代わりにセリスの発した台詞が頭の中をぐるぐると駆け回る。  私が、クラッドを、起こす……。 「……えぇっ!?」  ようやく言葉の意味を理解した私が横を向けば、声の主はニヤニヤと笑みを浮かべていた。 「それいいな。羨ましいぜ、クラッド」  さらに、セリスの言葉に便乗したシンまでニヤニヤし始め、私は無意識のうちに一歩退いていた。この2人が組むと嫌な予感しかしない。  視線をリオンに向ければ、無表情の彼と視線が交わる。セリスがシンと組んでも問題ないみたい。何でこんな時だけ許すのよ……。  
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