平穏な日常

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 そこまで説明したところで、漸くオッケーが出た。 「その通りだ。魔力が無ければ魔法は発動しない。お前達は去年、体内に放出した魔力を身体の任意の場所に流して身体を強化することを学んだが、それも魔力があってこそだ。上級生になるにつれて、限られた魔力でどこまでやれるかが重要になってくるぞ」  将来を不安にさせるようなことをさらりと言い切った先生は、オレに座るように手で促してくる。  まさか、今ので終わり? まぁ、それならそれでいいんだけど……。 「だから起こしてあげたのに……」  オレが席に着くや否や、隣からため息と共に声が掛かった。  エレナ・アークライト。緩いウェーブの掛かった金髪に蒼い瞳を持つ美少女。今は座っているからわかりづらいが、身長は女性の平均より高く、スタイルもいい。男女問わず人気があり、一年の時からつるんでいるうちの1人だ。 「まぁ簡単な問題で済んだんだし、別にいいじゃん。終わったことなんだしさ」 「そもそも、授業中に寝てるのが悪いんだよ。ちゃんと睡眠を取ってないんじゃないの?」  探るような目付きで訊ねてくる彼女に、思わず言葉が詰まる。図星だったからだ。確かに最近は寝不足続きだからな……。 「でもな、エレナ。その台詞、コイツに言うべきだと思うぞ」  そう言って、オレは親指で自分の後ろを指す。エレナがその先に視線を移すのに伴い、オレも背後に視線を向けた。  
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