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視界に映るのは、軽くオールバック気味にツンツンに跳ねた短い赤髪。両腕で作った枕に頭を乗せ、何やら寝言をほざいている。
「ぐへへ……ハーレムだぜ……。巨乳ちゃん発見……」
さぞかし幸せな夢なんだろう。ニヤニヤとだらしなく頬を緩め、放っといたら永遠に目覚めそうにない。
「だろ?」
「…………」
視線をエレナに戻せば、引き攣った表情で固まっていた。あまりのことに言葉も出ないご様子。
そんな彼女から視線を外し、オレは今一度後ろのバカに視線を向ける。
シン・デヴァイス。この学園に入学してから初めてできた友人。つまり、恥ずかしながらオレの親友ということになる。誰から見てもバカだろうが、いいヤツなのは確かだ。コイツの前じゃ絶対に言わないけど……。
まぁとにかく、オレだけ起こされた腹癒せ……もとい、大事な親友が授業中に寝ているのは心配なので、起こしてやることにした。
シド先生が黒板に字を書いてるのを確認。右手にペンを持ち、小さく振り上げる。身体の向きを後ろへ。ペンの先がキラリと鋭い輝きを放つ(一応言っておくが、比喩だ)。
「おい、シン。起きろ」
そして、投下。
重力に身を任せたペンは真っ直ぐ降下し、面白いぐらいにスピードに乗り、シンの頭皮へ……。
「んぎゃああぁぁっ!」
静かな教室に奇声が響いた。
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