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殺風景な四畳半の部屋。
耳からこぼれ落ちそうな
真っ赤なイヤリングを
ぶら下げた女。
そのイヤリングに
合わせたような真っ赤な
ワンピースを着た女と
スチール製の安っぽい机を
挟んで座っている刑事。
鉄格子がはめられた窓から
見える桜の木が
自然光の行く手を阻み……
薄暗い取調室の中で
白熱電球を備えた卓上スタンドが
出番を窺っている。
「どうして恋人を殺したんだ?」
刑事はスーツの襟を直しながら
女に尋ねると……
隅の小さな机に
陣取っていた制服警官が
供述調書のために
ノートパソコンのキーを
カタカタと叩き始めた。
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