My Favorite Thing

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「それで?」 「片っ端から本を読んだわ。  小難しい蔵書から辞典……  世界地図にも一通り  目をとおしたわ。  だって世界旅行した気分に  なれるでしょ」 そう言うと女は 刑事の目をしっかりと見据えて こう続けた。 「でも、そのうち飽きちゃうと  独占したくなって……  燃やしちゃった」 「燃やした?」 「そう、図書館ごと。  放火することを  心に決めてから……  毎日一階の色々な場所の  窓の鍵を外しておいたの。  もちろん忍び込むためにね」 女の目は イタズラ好きの子どものように キラキラと輝いている。
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