2/28
前へ
/28ページ
次へ
 国が、敵に回った。 「ぶっつぶしてやりましょうよ!」  彼に向かって、彼の部下が楽しげに笑った。それに同調して、周りの部下たちもおお、と声を上げる。 「軍なんて俺らの前では大したことありませんって。なんせこっちは自然魔法を唱えてるんだからな」 「そうだ。どんな人間だって、自然災害には勝てないんだからな」  口々に似合わぬ言葉を吐き出しながら、戦いに飢える部下たちに、彼は眉根を寄せた。 「待て。じきにここも長くない。荷をまとめろ。長期戦の覚悟をするんだ」  そう告げると、部下たちはこぞって声をあげた。批難の声もあれば、長期戦に喜ぶ声もある。 「出発は今夜。もたもたするな。女どもは逃がせ」  
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加