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「あ~~っ、あぶね~な~っ。」
スレスレのところでテンガロンハットを落としながら避けたヒゲヅラの男が15階は有ろうかと思われるビルの屋上を見上げて、そのまま落ちてきた残骸に目をやった。
「オジサン、落ちましたよ。」
その声を聞いて振り向くとアンドロイドタイプの少女が男の帽子を持って立っていた。
「あっ、ありがとう…。」
男は少し微笑みながら帽子をかぶった。
「スゴく似合ってます。その帽子、何て言う帽子なんですか?」
興味津々で少女が聞いてきたので男は、
「あっ、あ~っ、これはテンガロンハットっ言う帽子だよ。」
優しい口調で答えながら「ありがとう、優しいんだね。」
と少女の頭を撫でてあげた。
遠くから消防車やパトカー、救急車などの緊急車両がけたたましいサイレンと共にやって来て、任務を遂行していた。
「よ~~っ、久しぶりだな~スクラップ屋。」
なじみが有る言葉がして男が振り返ると、ロングコートに警察バッチを付けた男が「ニヤリ」と笑いながら立っていた。
「おろろ~っ、さっきの爆発事件の担当になったのか?バット警部補。」
ヒゲヅラの男がちゃかす様に言葉を返した。
「あ~~っ!俺ぐらい優秀な人間にもなると、10や20の事件を同時に担当しなきゃいけねぇからな。」
と、ふかしていたタバコを携帯灰皿の中に入れて足元に散らかっている残骸に目をやり
「それはお前のコレクションなのか?」
と目を鋭くして男に聞いた。
「まさか、あそこから俺の真上に降ってきたんだよ。危なく死ぬところだったんだぞ~っ。」
と言いながら屋上を指差してバット警部補に訴え
「なんなら目撃者も居るぜ。ほら、この子が証人だよ。」
と言いながら女の子を自分の前に出した。
女の子は「ニコッ」と微笑みながら
「知らないよ、私見てないよ。」
と言い出した。
ヒゲヅラの男は、驚きながら
「おいおい、何言ってるんだよ、オレのすぐ後ろに居たじゃないか。」
と言ったと同時に女の子が透けて消えていって驚いた瞬間
「オキロ、デロス、オキロ、デロス、イツマデネテイル?メシヌキニスルゾ!!!!デロス」
とお手伝いロボットの目覚ましの声で飛び起きた。
「夢かぁ~っ、なんか変な夢だったなぁ~っ」
と大きなあくびをした口に目玉焼きが乗ったトーストが飛び込んできた。とたんに…
「あっち~~~っ!!!!!!」
と言う声がこだました。
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