1: 逃避行の日々

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すぐにでも撃たれかねない状況の中だったが、俺はどうにか平静を保ちつつ、奴等を観察した。 そして気付いた。奴等は能力を一切展開していないのではないか、と。 抵抗しようがすまいが、どうせ奴等は俺を殺すか捉えるかするだろう。一か八か、俺は押し入ってきた奴等に能力を行使した。たった一瞬の隙を狙い、相手を狙う。暫くも経たないうちに、一人、また一人と相手は戦意を喪失し、やがて誰一人として動く者はなくなった。 手術用の器具で全員の身柄を拘束し、一人一人覆面を剥いでいく。現れた顔の中には、警察から指名手配されていた強盗団の構成員らしき者が何人もいた。 無能力者相手に略奪行為を繰り広げているとは聞いていたが、まさかティオ・ハーグリップの末端だとは思わなかった。いや、もしかしたら奴等もティオ・ハーグリップに利用されただけかもしれない。いずれにせよ、ここは能力を微塵も持たない者が大半のミ・ロクーネ、奴等がこれまで略奪行為に成功していたとしても何ら不思議はないのだ。 直ぐ様俺は警察に連絡を入れた。この調子だと村内の警察署も既に奴等に制圧された後であろう。増援が来るまでには時間が掛かるに違いない。 せめて俺が出来る限りの事をせねば。それだけを考え、俺は村役場へと向かった。通信設備のあるあそこであれば、奴等が根拠地として使っていたとしてもおかしくなかったからだ。
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