Hello Hero

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 1  月は隠れている。街灯もない。  そんな暗がりの中、『チープ・レイク』の冷え冷えとした墓場には二つの人影があった。  男が二人。  一人は立っている。  一人は座っている。  一人は無表情。  一人は目を見開いている。  立っている一人 ――命が感じられない程に無表情な彼は、  もう一人の男に向かって、  剣の刃先を突き付けている。  ほんのりと光を放ちながら、刃の先は真っ直ぐ額に向いていて、座っている――腰を抜かした一人の表情を照らしだすようだった。事実――男にはそう見えた。  細身で無駄な意匠のないそれは、針のような刀だった。  『彼』のような刀だった。 「…きみ、名前は?」  身動き一つせず、感情の一欠けらすらも見せないで、『彼』は問うた。  刃の先も男の額に向かったまま動くことはない。  男は恐怖に目を開いたまま、荒い呼吸のままで、向けられた刃先をただただ見つめる――それしか出来なかった。  まばたき一回、指先一つでも動かしたら――『彼』の『問い』に答えたが、それが最後なのだというように。  
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