序章

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終わった…。 彼は講師をやめ、わたしのまえから去っていった。 彼の奥さんがわたしに向かって叫んだ言葉が、いつまでも…いつまでも耳に残って責めたてた。 「体で人の亭主を奪い取って・・・さぞ楽しかったでしょっ!この泥棒猫!」 (泥棒猫・・・いまどきでもそういう言い方するんだ・・・) そんなことを思いながら、ぼんやり泥棒じゃないなぁと感じた。 ちがうのになぁ…わたしは取ってない。 わたしのほうが取られてしまったのに…。 理性や常識・・・ 世の中の見え方、 わたしのココロの道すじを取られてしまったのに。 これからわたしはどうやって進めばいいのだろう。 どうやって男という性と向き合えばいいのだろう。
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