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俺の高校生活は良いスタートだった。
先生「位置について~!よーい…ドン!」
やる気の無さそうな声色の先生の、テキトーな掛け声と同時に俺は走りだした。
気付けば隣には誰もいない。
「な、なんだアイツ!!」
「メチャクチャはえー!!!」
そんな声を聞きながら、俺は100メートルを走り終えた。
先生「上野達也は11秒フラットだな」
「上野ってヤバイな!!中学の部活は陸上だった?」
達也「うん。陸上もやってたよ!」
「『も』ってなんだよ、『も』って!!」
自慢するつもりではないが、運動ができ、勉強もそれなりにこなした事で、俺はいつの間にかクラスの中心になっていた。
気分はサイコーだった。
《校庭の外側》
女子が三人、校庭のフェンス越しにクラスに囲まれて笑顔の達也を観察していた。
「みてみて由緒!あそこの中心の男子…カッコイイと思わない?」
「しかも100メートル11秒フラットって聞こえたよ!!スゴいね、沙希!カミちゃんもそう思うでしょ!?」
カミちゃん「……………」
「か、カミちゃんどうしたの………って、何その双眼鏡……?」
カミ「………クスクスクスクス…」
「うわあ!!めっちゃ怪しい!!」
カミ「…………カモ発見……」
「か…カモ……?」
そこでカミちゃんと呼ばれる人は突然双眼鏡から目を離し、戸惑う二人の女子に振り返った。
カミ「由緒!沙希!」
「な、何!」
カミ「あの男子は私が頂くから、手を出さないでね!!絶対だよ!!」
二人はキョトンとした後、ため息をつきながら言った。
「出たよ……村上の悪い癖……」
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