春の日の下で

3/4
前へ
/4ページ
次へ
やらかした、完璧に乗り過ごしてしまった。 とはいえ、バスに罪はない。 悪いのは寝坊した自分なのだ。 過ぎたことはどうしようもない。 頑張れば、ここから走っても15分以内には駅に着けるはずだ……って、またマラソンかよ…。 そんな風にうなだれていると、 「あの、すいません…?」 不意に後ろから呼び止められた。 振り向くとそこには、小柄な少女が一人。中学生くらいだろうか。 セミロングの栗色の髪を春風に揺らして、控えめにこちらを見ている。 なんでだろう、心なしか警戒されている気がする…。 まぁ、大声を上げて全速力で走ったり、突然うなだれたりしてれば当たり前か。 「えっと、何かようかな?」 せめて印象を変えようと、優しく応対してみる。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加