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ブスっとした表情のまま教室を眺めていると、前の席の奴がクルリと後を振り返った。
「!?」
急にこっち向かれてビビった…
つい頬杖を止め、シャンとしてしまう。
うわ…嫌味なくらいイケメンだ。
「順番で行くとお前かな?」
「え?」
いきなりお前って…っていうか何の事か意味分かんない。
いったい何の話?
「あぁ、急にワリィ。部屋割りだよ。」
そうだった。
ここは全寮制。
申請しない限り出席番号順で同室が決められる。
俺は入学式に配られた封筒を出す。
その中に部屋割りが書かれた書類が有った筈だ。
そこに書かれていた名前は―――
「じゃ、お前が草野 柘栖-くさの たくす-?」
多少根に持って『お前』って言い返した。
だが草野は気にした様子はない。
「そっ、よろしくな、相模…え~っと?」
うっ!
ピシッと固まってしまう。出来れば名前の読みは教えたくない…
だが、いつかはばれるもんだ。
嫌々、吐き捨てるように告げる。
「…シズカ。相模 閑-さがみ しずか-」
「閑ちゃ…」
「閑ちゃんとか呼んだら殴る」
女みたいな名前、だいっ嫌いなんだよ!
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