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「…まったくですよ、人が良すぎる」
人の為に自分を顧みない奴は、都合がいい。
利用されやすい。
「―――でも…」
草野は今日会ったばかりの相模の言動を思い出す。
「相模は、安心する」
打算も考えず、無鉄砲な人間は滑稽だ…
きっとこの学園にいる多くの者がそう相模を可哀想にと見下すだろう。
しかし、草野は見下すよりも、傍にいてほしいと思った。
傍で人らしい姿を教えて欲しかった。
焦がれて、でも手に入れられなかった普通の家庭。
夢見たよくあるホームドラマ。
そんなの現実に存在するなんて信じられなかった。
なのに、相模からは感じる。
当たり前や、普通。
それは眩しくすら見えた。
そして渇望した。
きっと、水沼先輩もそう感じているのではないだろうか?
自分を普通に扱ってくれる存在。
自分に堂々と意見をした相模閑なら、きっと他の奴とは違い傍にいてくれるんじゃないかと…。
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