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例えるなら『オカン』だ。
男の同級生に感じるものとしておかしいが、『普通』の家庭にいた相模からは、その育てられてきたもの、染み付いたものが、溢れていた。
居心地がいい人が、いとも簡単に目の前にあらわれた。
欲しくない訳がない。
まったく違う思考、普通を普通と自然に在れる。
相模には探り合うような事をしなくてもいいのだ。
「相模…か。あいつの名前?」
「相模閑って言ってました」
「傍に縛り付けたくなる」
孝は、草野の言っている「安心する」ということが理解できているのか、内容は物騒だが穏やかに返してきた。
「先輩も普通の家庭に恵まれなかったんですか?」
「いや、普通だったが…途中で歪になった。昔に哀愁がある」
「じゃ、惹かれる同士ですね」
草野の問いに躊躇わずに返事は返された。
「あぁ、興味がある」
会話が一旦途切れ、二人はお互い何を切り出すか待った。
痺れを切らしたのは、草野の方だった―――。
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