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「本当に『そんな事』だな、考えるだけでいいなんて」
草野は苦笑する。
「食費寄越せって言えば一番楽なのに…相模は、もう…」
バカだな…という日高見の続きは言葉にならなかった。
背後で二人がそんな会話している事なんて知らず、俺は、悩みから解放されスッキリして鼻歌なんてのんきに奏でていた。
その日の放課後、運のいい事に丁度奨学金の説明会が開かれ、そこに出席した。
出席者の少なさはあいつらの言う通りだった。
あと、俺の内申書でも受給条件は満たせていたらしく安心した。
奨学金は将来返さなきゃいけない、いわば借金だ。
なら毎月の金額を高額にしたら俺のことだ…無駄遣いして将来困ったことになるだろう。
だから、そんなに高くない月5万に設定して申し込みをした。
審査結果、そして振込まれるまでは一ヵ月かかるらしい。
それまではなんとかやり繰りしなきゃな。
封筒に入った資料を抱え、俺はわいてきたやる気を燃やし意気揚々と寮へ戻った。
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