序盤の情報はこの程度

10/20
前へ
/205ページ
次へ
寮に帰りドアを開けると、孝が目の前にいた。 その姿を認めて、一気にテンションが下がる。 …忘れてた、こいつと同室だったんだ。 表情がなくなってしまう。 「なんで玄関で待ってんだよ」 帰った早々、顔合わせたくないんだけど! 邪魔だとばかりに顔を歪ませてから、横を擦り抜ける。 自分の部屋に入っていき、テーブルに資料の入った封筒を置く。 孝はそんな俺の後をピッタリ着いてくる。 ニヤニヤして何が楽しいんだか…ため息が出る。 「さっきの質問だけど」 荷物を片付け一段落した俺に声がかけられる。 訝しげに顔を向ける。 質問…? 俺、したか? 帰ってからを思い出し、あぁ、なんで玄関で待ってるか…かと思い当たる。 「お前になんか届いてたぞ」 ちゃんと理由があって俺を待ってたのか…。 来い来いと手で招かれてリビングに行くと段ボールの小包みが届いていた。 伝票には母の名前が書かれてあった。
/205ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1535人が本棚に入れています
本棚に追加