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「母親からか?」
「あぁ」
後ろから覗き込んでくる孝に短く答えて箱を開ける。中には米やレトルト食品がぎっしり入っていた。
隙間には手紙が入っており
『いきなり完璧に自立なんて出来ないでしょう。ゆっくりでいいから。でもご飯だけはちゃんと食べなさい』
と、母親の字で書かれてあった。
俺が料理しないだろうこととかちゃんと分かってんだな…
親ってスゲーや…
厳しいのか優しいのかよく分かんないけどさ、ありがたい。
少しだけ鼻の奥がツンとした。
手紙を見たままセンチメンタルに浸っていると、じっと横に移動して俺を見ていた孝の顔が近づいてきた。
近づいて…
おい、そろそろ止まれ。
近づき過ぎ、止まれって!まさかな?止まるよな?って信じて避けないでいたら、
チュ
頬っぺたに感じた嫌悪感。もう、騒ぐ事もなく、うんざりと手の甲で拭った。
「うっわ、一番傷つくわ」
笑いながら言ってんじゃねーよ。
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