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その子は綺麗な動作でこちらに近づいてくる。
日本舞踊とかそういうの彷彿とさせる滑らかさだ。
…なんて関係ない事に逃避しちゃうくらいにはテンパってます。
だってめっちゃ可愛いんだよ?
その子の瞳に俺が写ってんだよ?
こっち来てるんだよ?
男と分かってても緊張してしまう。
草野は何言う気なんだ?
可愛いその子と2人、草野に注目する。
「こいつがお前心配で一言」
注目した視線を誘導するように、俺を指差す。
丸投げかい!?
うっかり心の中で突っ込んだよ。
「あ~何というか…そっとしてやれって言ったのに、馬鹿がごめん」
「えぇ!?馬鹿って俺!?」
「お前なんか無神経バカだ」
頭を抱えてしまう。
無茶ぶりしやがって。
ヒデーと口を尖らせている草野を放っておき、その子に向き合う。
「なんつーか、入学式だしこれからじゃん?愚痴くらいなら聞きますよ?」
気の利いたこと言えるほど口が達者じゃないのが残念だ。
だがその子は目を見開いた。
「…君、珍しいね。話聞いてくれるんだ?」
「?それっくらい誰でもしない?」
目の前でその子と草野は顔を合わせる。
目線で通じ合っているようだった。
二人してなんなんだ?
だが、2人の様子は好意的だったので、悪い事じゃないんだよな?
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