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「出掛けるのか?」
気になってひょいと顔を出すと、芳澤先輩が笑顔で『孝を借りるよ』と言った。
今は追求できそうになさそうだな。
じゃ、孝に用はないや。
どうぞ、どうぞ、持っていってください。
「淋しいだろうが我慢しろよ」
「誰がだ」
すぐそうやってふざける。
ニヤニヤすんなバカ。
こんな二人のやり取りを見て、芳澤先輩は驚いた後、可笑しそうに笑っていた。
二人が出かけた後、風呂に入って、テレビ見ながらゆっくりしていた。
だが、…気が付いたらさっきの言葉が頭の中に蘇っていた。
孝と芳澤先輩の不自然な距離の会話。
優ちゃんが誰か。
…病院。
だって病院って…。
推測するに、優ちゃんという孝の知り合いがいて、でも孝は芳澤先輩の学校での護衛という仕事があって時間がままならない。
お見舞…行きたいのに行けなかったのかな?
芳澤先輩はそれが不憫で、多忙なのに連れ出してあげたのかな?
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