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「そんな時、芳澤グループ本社に乗り込んだんだ」
ただ大企業だったから。
受付に行って、不躾に人事の人に会わせてくださいと言ったらしい。
受付嬢はマニュアルなのだろう、他の会社でも言われた言葉を言った。
「誰をお呼びいたしましょうか?お約束ですか?」
笑顔を浮かべ平然と。
約束なんてあるわけない、誰がいるかも知らない、どうすればいいか分からないから、こうやって直接来ているのだ。
黙ってしまった孝に
「申し訳ありませんが…」
淡々と笑顔を浮かべて放たれる言葉。
必死なのに、何も知らないくせに!!
やるせない気持ちで受付を後にする。
どうすればいいんだろう、なんだってするのに
力のなさが情けなくて、何もかもうまくいかなくて、泣きたくなっていた。
中学生には背負うには重すぎた。
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