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すぐにスーツを着た屈強な男たちが集まって、ナイフ男を取り押さえた。
襲われたというのに、少年は全く動じていない様子でわめく男を見下していた。
「孫が危ないと知ればあの男だって!!!」
取り押さえられながらも、まだ少年に向かおうとする。
何があったのかは知らないが、深い恨みにゾッとした。
「…残念だが会長は血の繋がりに興味はない」
独り言かと思う程、静かな声が耳に入った。
声の方に目を向けると、少年も孝を見ていた。
「君はこんなトコで何を?」
最初に掛けられた言葉は、礼でも何でもなく、上から目線の問い掛けだった。
「あっ…と」
同年代の少年から感じる威圧に言葉がすぐには出てこない。
その様子に、少年は腕時計で時間を確認すると歩きだす。
「すまないが時間がない、移動しながら話がしたい…着いてきてくれ」
返事も待たずに、今、孝が追い出されたばかりの会社に入っていく。
自分勝手過ぎるだろうと、呆気に取られてしまった。
勝手な物言いに、怒って帰ってしまってもよかったが…
孝は少年の後を追った。
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