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自分と同じ年くらいの少年の言葉を鵜呑みにしていいか分からなかった。
久臣と名乗った彼にどれだけの権限があるかも分からない。
だが、惨敗続きの孝がやっと掴んだ可能性だった。
次の日、仕事終わりの父と、見舞い帰りの母を連れ、言われた場所で待っていた。
何事か分かっていない両親にいくつか質問されたが、孝自身もいまいち分かっておらず曖昧な返事しか出来なかった。
3人、緊張して待っていると18時きっかりにホテルの従業員が近づいてき、久臣と約束がある事を確認すると、二階にある日本料亭の個室へと案内された。
そこには勿論、久臣が待っていた。
ただ、そこにいた久臣は、昨日と同一人物とは思えない程にこやかだった。
「いきなり呼び付けてすいません」
「いえ、それよりなぜ…?」久臣の肩書きは言ってあるからだろう、どう見ても年下に父親はかしこまって聞く。
「きちんとお話させていただきます。長くなると思うので座ってください」
水沼一家は互いの顔を見合わせてから、怖ず怖ずと座った。
それを見計らったかのようにお茶とお茶菓子が運ばれてきた。
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