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「孝、昨日言ったことは本心?」
名乗っていなかったはずなのに…調べられたのか?
まぁ、いい。
「…あぁ、何でもする」
昨日を思い出し返事をすると、俺の言葉に母親が机の下で手をキュッと握った。
だが、覚悟は出来ていた。俺だけ同年代のみんなと違うのはすごく淋しかったが、妹はまだ小学生なのだ。妹こそ、みんなが羨ましいのにこれから辛い治療に耐えなければいけない。
俺はお兄ちゃんだから…
俺は両親の負担にならないだけじゃなく、両親の力になりたいんだ。
決心した目で正面から久臣を見ると、久臣はゆっくり頷いた。
「実は君のことを少し調べさせてもらった」
そう言って机に出された書類は、空手などの大会の成績だった。
「随分優秀だ…問題はあくまでスポーツだってことだ、実践向きじゃない」
「なんでスポーツじゃだめなんだ?」
「孝には俺と一緒の高校に行ってもらう。そこでボディーガードになってもらいたい」
ボディーガード…昨日の一件でのスカウトであろうか?
しかし…
「ボディーガードなら一杯居るんじゃないのか?」
「あぁ、だがみんな大人だ」
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