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完璧には納得していない両親だったが、他に手が無いのは理解していたのか、話が終わると久臣と孝に深く頭を下げた。
孝は次の日から早速実践向きの特訓をしてもらった。
「そうやって家族全員、久臣に養ってもらってるんだ」
それが孝の芳澤先輩に申し訳ないと引け目に感じていることか。
二人の関係をきちんと知り、何となくだがお互い踏み込めない理由がわかった。
「芳澤先輩の方は孝の人生を自分の所為でネジ曲げたとか悩んでそうだな…」
孝は理解できないように首を傾げた。
「空手とか続けたかったんだろ?大会で優勝したり…そういうの出来なくなったし、進学も自分と一緒のトコと強制した」
しょうがないから説明してやる。
「そんなの、久臣のボディーガードにならなくても無理だったことだ」
孝の言っていることは客観的に見れば分かることだ。
でも芳澤先輩は当事者、罪悪感で申し訳ないと思っていてもしょうがないし、なにより…
「そうハッキリ伝えたことあるか?」
人はちゃんと言われないと疑心暗鬼になるもんだ。
「それから、養ってもらってるって言ってたけど、孝は働いてる。正当な報酬だ」
「だが、この年で高額すぎる。本来俺か受け取れるような額じゃない。」
「それほど危険だからだろ?」
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