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俺は自分が男と恋愛するなんて考えたこともなかった。
だから初めては女の子だと当たり前に思っていた。
だからこんな状況、想定外で覚悟なんか出来てない。
うっそ…だろ?
俺…掘られちゃうの…?
それが現実味を帯び、ゾッとして泣きたくなった。
♪~♪~
!?
ベタかもしれない…ケータイが鳴るなんて。
こんな都合いい事ってマジにあるんだな!
天の助けだと思った。
「お前の携帯鳴ってる!!!」
言わなくても分かり切った事を叫ぶ。
とにかく意識をそらしたかった。
孝は本気で嫌そうな顔で携帯を睨んだ。
…その眼力だけで携帯爆発するんじゃないかと思った。
孝は後ろ髪を引かれながらも俺から離れ携帯の通話ボタンを押す。
「急用か?」
それ以外なら今すぐ切ると含ませた言い方だ。
「別に…」
相手がどんな返事をしたか分からなかったが、孝はその場にしゃがむと唸り頭をガシガシと乱暴に掻いた。
「分かった、すぐ行く」
その言葉を聞いた途端、体中の力が抜けた。
「…あからさまにホッとしやがって」
睨まれようが、今の状況を切り抜けられたことのほうがありがたかった。
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