伏線回収

22/25
前へ
/205ページ
次へ
すっかりココアが覚めてしまった頃、玄関の方から物音がした。 時計を見ると結構時間が経っていた 随分考え込んでたんだな…気が付かなかった。 「まだ、起きてたのか」 表れた孝を上から下までじっくり見る。 良かった…怪我はないみたいだ。 「明日休みだし…夜更かししても問題ないだろ」 まだ入っているココアに目をそらす。 とても孝を見れない。 ごめん…ごめんな 俺、自分に何かできるなんて知らないうちに慢ってたんだ。 力になる事すら何も浮かばないのに。 「閑?」 やばい、普通にしなきゃ。 訝しまれてる。 いつもみたいに… 「どうした閑?」 ~~~~っ!! 心配されているのが申し訳なかった。 そんな自分が情けない。 「俺が心配されてどうすんだよ!」 バン、とテーブルを叩きつけながら立ち上がって、キッと孝を睨んだ。 「考えたけどやっぱ俺は…」 「好きだ」 「!?」 脈絡ない言葉の返しだったが、俺の言葉を止めるには充分な効果があった。 動機が落ち着くのを待って、声を絞りだす。 「俺は何もしてやれない…」 「何もしなくていい」 「好きにもなれない」 「させる」 「…っ!!重いんだよ!俺に期待されても!!」 俺には力なんかない。 カウンセラーでもないんだ。
/205ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1536人が本棚に入れています
本棚に追加