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「俺、ここら辺の店ぜんっぜん詳しくないから教えてもらえて助かる」
この店を気に入った俺は、食べながら孝に礼を言う。
「そいや、閑の家は遠いのか?」
「う~ん、隣の県だし電車で1時間くらいかな」
めっちゃ遠いって訳じゃないから、ここら辺に遊びに来た事はあるけど、雑誌に載ってる店に行った位だし。
「孝は?」
「めっちゃ地元」
なら詳しいよな。
いい店他にも知ってんだろうな、連れてってもらおう。
「だからたまに中学の同級生とか会うと…変わり様に引かれる」
ふと、声のトーンが変わった。
笑ってるけど、それは自嘲だった。
中学の同級生から見たら、孝はいきなりおぼっちゃま学校に進学したかと思えば、見た目は悪そうになってる。
変わってしまっていて驚いただろう。
失った友人もいるかもしれない。
もしかしたら、変な噂とか、よくない評判がまわっていることもあり得る。
慰めるのは繕うだけな気がして
「当然だろ。見た目怖いし引くわ」
茶化してやった。
その方が軽いだろ?
「やっぱり?」
孝も乗ってくれたから、これでいいんだよな。
どんなに形だけ励ましたって事実は変わらないんだから。
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