1535人が本棚に入れています
本棚に追加
あの後、追い掛けてきた孝と買い物をし、あらかた揃って満足した頃には夕方だった。
あっという間だったなぁ。
悔しいけど、充実してたってことだな。
「しっかし重い、さっさと帰ろうぜ」
しかも、孝のほうがたくさん持ってくれてるし、やっぱ悪いじゃん?
「…なぁ」
そんな俺の考えを見透かしたように提案をしてくる。
「荷物持ちしたんだから、ちょっと付き合えよ」
孝の真顔にサーと血の気が引いた。
ど、どこに?
見返りになに要求されんだ?
自分を自分で抱き締める様にして後退った。
そんな俺を見つめる孝の目は三日月のように細められた。
結果で言うと、頭の中がいかがわしい事でいっぱいだったのは俺の方らしい。
荷物だけ寮において、孝に連れていかれたのは病院だった。
…孝のことだから変なトコに連れ去られるのかと…べ、別に期待とかしたわけじゃねーからなっ!!
それにあいつ…俺が勘違いしてるって気が付いていてわざと行き先言わなかったんだ。
ほんと、からかいやがってムカつく!
まぁ、それは許してやるとして…
病院ってことはやっぱり…
孝の後を追って辿り着いた病室には『水沼優』と表示されていた。
孝の妹の優ちゃんだ。
最初のコメントを投稿しよう!