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優ちゃんが喜ぶので、いろんな話をしているうちに時間は過ぎ、結局面会時間、ギリギリまで残ってしまった。
辺りは真っ暗だ。
「じゃ、帰るか」
「え~」
孝が時計を見て切りだすと残念そうにしてくれた。
懐かれたのかな?それなら嬉しいな。
優ちゃんがイヤじゃなかったら、また会いに来よう。
「ね、相模さん」
孝が先に病室を出たのを見計らって、優ちゃんは小声で俺を呼び止めた。
「お兄ちゃんが芳澤さん以外を連れてきたの初めてなの。誤解されやすいけどよろしくね」
俺は自分で思っている以上に孝の中での存在が大きいのかも知れない。
こんなプライベートな部分にも踏み込ませてもらえてるんだから。
「うん、孝は良い奴だよ」
俺も孝のことを友人としてだけど人として尊敬している。
俺の答えを聞いた優ちゃんは、自分のことのように嬉しそうに笑った。
俺が13の時ってホントにガキだったと思う。
男に比べて女の子の精神年齢が高いっていうけど…
今、優ちゃんは思春期の複雑な真っ只中…なんだよな?
お兄ちゃんが自分の所為で今の生活無理してるんじゃないか、不安に思ったりしてるんだよね。
優ちゃんなりに自分の存在を嘆いて、孝を心配してる。
俺の答えで少しでも安心させてあげれたのかな?
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