ディーヴァ

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そう言って、僕に青いチェックのシャツを丸めて、投げてよこした。 「とりあえず、それ着ててよ。パジャマ代わりに着てる男物のシャツだから、合うでしょ」 僕は、シャツを受け取ったものの、戸惑いを隠せないでいた。 そんな僕に彼女が腕組みして言った。 「僕ちゃんの裸なんて平気。なんなら着替えさせてあげようか?」 その一言に少し腹が立った。 なんだよ、それ!思いっきりガキ扱いかよ。 「結構です」 僕は言い、席を立ち、その場で濡れたシャツとTシャツを脱いだ。 それから素早く、渡されたシャツを着た。 彼女は、それを腕組みしたまま黙って見ていた。 僕は恐る恐る彼女を見た。 そして、目が合うと彼女は、にっこりと笑うと、バスルームに向かった。 なんなんだ一体?! 僕は脱力した様に、また座り、コーヒーカップを両手で挟んだ。 だけれど、しかし……コーヒーカップの温もりと乾いたシャツの感触が心地よく、僕をどうしようもなく落ち着かせた。 バスルームには、マンガとかテレビでしか見た事が無いバスタブがあった。 4つの脚がある大きなバスタブ。 張ったお湯から沸き上がる湯気。 僕は恐る恐る、お湯に入った。 ゆるゆると身体を湯に沈めると、冷えきった身体中の細胞が震える感じがした。 単純に幸せだと思った。 それから考えた。……サラって……外国人なんだろうか? でも、普通に日本語話してたぞ。 でも、そうか……ハーフかも。あの顔立ちだし。 僕は勝手に納得して、あとで聞いてみようと思った。 そして、ぶくぶくと大きなバスタブに潜った。 身体中の細胞が歓喜の叫び声を上げるのを聞きながら。 バスルームを出たら、彼女はベッドに座り、煙草を吸っていた。 僕の濡れたシャツとTシャツは丸テーブルに丁寧に畳んで置いてあり、傍らにアイロンが立っていた。 「あの……ありがとうございます」 「いいのよ、これくらいしか、お礼出来ないし」 「はぁ……」 僕は我ながら情けない返事をして、丸テーブルから、まだ温かいシャツを取って、バスルームに戻って着替えをした。 彼女には色々と聞きたい事があったけれど、着替えたら、すぐに帰ろうと思った。
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