きみと僕の追走曲

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2月18日 22時37分 刻々と時を刻み続ける デジタル時計の隣で 俺はいまだに冷めきった飯を食えずにいる。 あなたを待ち続けて もう3年が経ってしまった。 今日もインターホンの小さな画面に 彼の姿が映ることはない。 そこにあるのはただ冷たい廊下 それだけである。 二人分の夕飯。 何度も、いい加減作るのをやめようかと考えたがいまだにそれができずにいる。 もう習慣と化してしまっているのだ。悲しいことに。 頭では、この行為がどれだけ無駄なことか十分理解している。 二人分の食事。 一人の食卓。 静かすぎるその部屋で、 今日も俺は。 「いただきます」 一人手を合わせるのだ。 パチリ、と乾いた音が虚しく部屋に響きわたる。 それによって再度、 部屋には自身だけであることを再確認させられた。 飯は相変わらず不味かった。 俺はいまだに料理の腕があがらないらしい。 冷たいスープはまったく味がしなかった。 end 思いを告げたことで出て行ってしまったOと それを待ち続けるN .
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