春とこころ

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「お前アレだろ、ゲイ」 休み時間。 いつもつるんでる仲間内で、 そんなふうに冗談を言われた。 すかさず「馬鹿だろ、お前!」とか言いながらソイツを軽く小突いた。 なぜそんな流れになったのかは分からない。覚えていないのだ。 どうにもぐっしょりと汗で濡れてしまったシャツの方に意識がいってしまっていたかららしい。 夏でもないのにおかしな話だとは思うが自身でその「原因」は十分理解していた。 おそらく¨図星¨なのだ。 そよそよと暖かい風が教室の中にすべりこんだ。 桜の花びらが混じったそれは、窓際で寝息をたてる彼にそっと悪戯をする。 ふわふわと彼の茶色い髪が揺れて、その上に白い小さな花びらが乗っかった。 ふわり。 春の香りがする。 ゲラゲラ笑う仲間をよそに、俺は彼から目を離せずにいた。 おそらく俺は。 恋をしている。 end 肯定することのできない恋。 .
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