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「フフッ。そうだよ。王子様。それと異世界の君が選ばれたわけは、」
『えっ…心の声が…。』
「全部聞こえてたよ。それはね。奏多ちゃんが強く願ったからだよ。」
私が、
――…願った?
『何を?』
「この世界が、嫌い。もう、うんざりってね。だから、そう言う子達は僕達の世界に呼び込むんだ」
何となく理解は出来る。
『でも、私がお姫様になる、瑠璃錦さんと結婚する理由は?』
いきなりキョトンとした顔になり
「僕が君を気に入ったから。一目惚れ…って言うんだっけ?」
『そんな理由で?』
「…駄目?」
『駄目じゃないけど、いつかきっと飽きちゃうよ。』
真剣な顔で近づいてきたかと思ったら
いきなり視界が暗くなった。
あぁ…抱きしめられているのか。
これが落ち着くってことなのかな…?
よく解らないや。
瑠璃錦は抱きしめる腕を緩め、少し距離をとると
「奏多ちゃん、僕と結婚してください。絶対、後悔はさせないから、だから僕と一緒に向こうの世界に行こう。」
暖かな腕と優しい眼差し、
この人なら幸せにしてくれるかも…
『わかった。お願いします。』
そう言うと瑠璃錦さんは優しく微笑み、私を強く、強く抱きしめた。
そして、私の意識は薄らいでいくのだった――…
続く。
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