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『別れよう』
3年前、その4文字だけがメールで届いた。
電話をしたが、繋がらなかった。
メールをしたが、返信はなかった。
フラれた理由を聞くだけのために海外まで行く勇気はなかった。
目の前で拒否をされるのが怖かったのだ。
だから、連絡先を聞こうと彼の実家を訪ねた。
彼の実家はなんとなく慌ただしかった。
父親は私に
「もう、あいつには会わないでやってくれ」
と言った。
母親は私に
「新しい恋をしなさい」
と言った。
二度目に訪れた時にはもう、彼の実家はそこに無かった。
それでずっと、喉の奥に魚の小骨がつっかえていた。
彼の死を聞いた時、
「あぁ、なんだ。そういう事だったのか。」
と妙に納得する自分がいた。
つっかえていた小骨はとれたが、その傷は化膿した。
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