メモリーカード

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「初めまして。僕はショウヤ。モチヅキ、ショウヤ。」 画面ごしの君はカメラを傾け、『望月 星弥』と書かれた紙を見せた。 「今日、僕は、余命半年の宣告を受けました。」 画面ごしの君は、笑顔でそう言った。 星弥の顔はひどく爽やかだった。 死を目前とした人間がこんなにも普通でいられるだろうか? 数秒後、その疑問は完全に消え去り、それがただの強がりである事が分かった。 星弥の顔が崩れ、瞳に溢れんばかりの涙が波打っていたからだ。 星弥は静かに目を閉じ、深く息を吸った。 頬には、一筋の涙が流れていた。 死が身近なものとなっていた私は、思わず涙を誘われた。
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