三月のある日

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「るるるるるるる」私の朝はこの挨拶で始まる。目を開くと、目があった。(二つの意味で)私の上に馬乗りでじっと覗き込んでくる少女は、私が起きたのを確認するともう一度笑顔で言った。「るるるるるるる」「おはようF-049、ちょっと顔近いよ」 手足をぱたぱたさせて柔らかな声でるを連呼するF-049を退かしてまずはぐぐっと伸びをする。うん、まだ寝足りない。昨日も意識がなくなったのが4時過ぎでってか今日だね、今は6時半だから当然か。周りのベットからは皆の寝息が聞こえてくる。 「るるるるるー」「ん、ちょい待って」先にベットから降りてまたぱたぱた手足を動かすF-049に急かされつつスリップを履いて、部屋を出る。廊下はまだ暗くて非常灯の緑のランプしか見えないけど、洗面所に行ってとりあえずトイレを済ませて顔を洗った。 「るるるるる」「本当だありがと」指摘された妖怪アンテナを水で濡らしてとかしながら鏡にむかう。うん、いつもどおりだ。いたって普通の凡人フェイス。ああもっと可愛かったら良いのに。具体的に?そうだなF-049くらいの美少女レベル。 しゅこしゅこ歯ブラシを歯と接触させながらぼーっとしているF-049を観察。あいもかわらず美少女っていうか美人さんで、艶のある黒髪に形良い眉とか、陶器みたいな頬とか、むにむに掴むと「るるるるーっ」うん、今日もいい手触りで結構。お、ぐにーっとお返しとばかりに引っ張られたよ、ちょいたたた。
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