三月のある日

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「はーい、おはよう!ノツキ起きて、穂乃華はそんなところで寝ない!F-049おはよう、いい天気だね」意識が混濁のなかからやけに明るいハッキリした声に突き刺されて捕獲された。ついでに本体も抱き起こされて、立たされた。うぐぐ、背中痛い。 「………おはようございます」「るるるるる」「よろしい、おはよう」看護師さんに見つめられて朝のご挨拶。力強い腕にぽんぽん頭を叩くっていうか殴られてちょっと背が縮んだ気がした。それにしても私本当に床で寝たんだ、いやはは適応能力半端ねぇなおい。とか言えば中学生ぽいかな?ぽりぽり頭を書いて、ノツキを起こす看護師さんを見つつ、入り口に置かれているワゴンから朝食の載ったプレートを三人分取り出す。 「んぐぅ……起きます離してください触らないで」看護師さんのたゆまぬ努力の結晶のノツキがやっと起き出した。顔にかかる茶髪の向こうから眼光が鋭く拒絶する。「分かった分かった、はいおはよう」飽きれたように両手をあげて離れる看護師さんを一瞥して、鼻を鳴らすノツキにプレートを渡す。「おはようノツキ。顔洗ってくれば?」「煩い黙れ顔面崩壊野郎」「るるるるるるるー…」「F-049今日も美しくてなによりです」なにやら抗議の声をあげたF-049には蕩けるような笑顔を振りまくノツキは、不細工な私には冷たい。
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