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光の当たらぬ花はただ、
枯れてくのを待つ運命。
そなたのくれた手紙だけが、
我に生きる光をくれた。
父親がギリギリのところで部屋に入って来て、我に手紙を渡してきた。
差出人はあやつ。
だがもう我の目は霞んでおり、読むこともままならない。
無言なまま、静寂に包まれた部屋に響く無機質な音波の音。
ピッ…ピッ…ピッ……
「これが…最期の…願い…ぞ。本当に…これ…が…最後なら、行か…せて…く…れ…あやつ…の…元…に…」
ピッ…ピッ…ピ――――――――――ッ…
彼女の"命の時"が、終焉を迎えた合図だった。
「…っ、モトナリーッ!!っうう…っ」
娘の手を握ったまま、残していった彼女の言葉に父親は泣きながら自分を責めた。
何故、会ってはならぬと言ったのだろう。
どうして、囚人だからといって彼を差別し娘を遠ざけたのだろう。
もっと早く、この事に気付いていたら。
彼は1日中、己を責め続けた。
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