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もう助からないという病をかかえ、我は入院している。 毎日同じ事の繰り返しで、つまらぬ。 我はここから一度も出たことはなかった。 出る気さえ起こらなかった。 父親が仕事場に連れていってくれると言ったあの日までは。 そして、あやつと出会うまでは。 ―――――――――――――― 我はあの日を境に、毎日病院を抜け出すようになった。 父親の仕事場であやつと会うために。 手紙を紙飛行機型に折って、飛ばす。 フェンスに隔てられているが、飛べば相手に届く。 少しだけ話し込んで、手紙を持って病院に戻り、手紙を読む。 この手紙を読むと心が暖まる気がした。
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