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―――――父親に怒られてから、数日後。 我の容態は急激に悪化した。 それからというもの、日に日に増えていく管の数。 日に日に遠くなる耳。 最近は歩くのもかなりキツくなってきていた。 でもあやつにだけは。 モトチカだけには、心配かけたくない。 「もう、ここから生きて出れぬなら…!!」 重たい身体を引きずってまで走り、"いつもの場所"へ。 「さよなら」の想いを乗せて。 交わされる紙飛行機。 上手く相手に届いた。 「我は…数日したら遠い場所に行く。これで最期の手紙だ。…では」 泣く姿を、見せたくない。 直ぐ様その場を去りたかった。 振り向いて一歩踏み出した、その時。 「…待つぜ、いつまでも待ってるぜ!!」 その言葉に振り向くと、彼はこう続けた。 「お前さんが来るまで、な。この手紙を無くさずに持ってたら、また会えるよな?」 その問いかけに、無言で立ち尽くした。
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