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「す、すいません」
正直身体を起こしているだけで辛いのでゆっくりと横になる。
(そういえばここがどこなのか分からない。この人に聞いてみるか)
「あの…」
「慧音だ」
「え?」
「私の名前は上白沢 慧音だ。名前が分からないと呼びにくいだろ?」
「は、はぁ…。えと、俺の名前は矢崎 哉(やざき はじめ)です」
相手が好意で名乗ったら自分も名乗れって昔婆っちゃが言ってた。
「そうか、哉か。ここはどこだ?って聞こうとしたな?」
「なぜ分かったし」
今聞こうとしたことを見事に当てられビックリしてる俺をみて慧音さんはクスクスと笑っている。
「ハハハ、ここに迷い込んだ人は皆聞くことだから分かるさ」
慧音さんは立ち上がり、横になってる俺の上を通り、障子を開く。
悲しげな夕日の光が和室を照らす。
その光を遮る位置に彼女は立ち、俺に振り返る。
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