出会い

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部室の中にはたくさん人がいて、みんな一斉にこちらを振り返った。 でかい声出しすぎた…。 あたしは恥ずかしくなって、下を向いているとポンと肩を叩かれた。 「おまえ、入部希望者?」 顔を上げると目の前には、いかにもモテそうな黒髪の男がいた。 「は、はい」 「ふーん。じゃ、こっち」 男はそう言うと、あたしの腕を掴んで奥へ引っ張っていった。 「おまえ、名前は?」 1番奥までつくと、男は足を止めてあたしのこと顔を見つめた。 あんなにでかい声で言ったのに、聞いてなかったんだ…。 「神谷 杏奈です」 「神谷…。入部テストがあるの、知ってる?」 「入部テスト…?」 なんだ、それ? 「しらねーのか。あのな、陸上部に入るのにはテストに合格しないといけねぇんだよ」 「えっ…?」 そんなのあるなんて聞いてないよ~! 「テストの内容は、50メートル走だ。入部希望者全員で走ってタイム争いだ。上位3名だけが陸上部に入れる」 「ちょっと待って下さい!それは、男女で、ですか?」 「あぁ、そうだ」 男の方が速いのは、明らかなのに…。 でも、ここで諦めるわけにはいかない! あたしには約束があるんだから…―。
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