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「わかりました…」
「テスト、受けんの?」
男はびっくりしたように聞いてくる。
「はい」
「へぇ?テストは今から10分後ぐらいに始まるぜ。ま、せいぜいがんばれや」
男は笑いながら言った。
こいつ…。絶対ムリだと思ってるな。
「言われなくてもがんばります!」
あたしは少し怒ったような口調で叫んだ。
「おもしれーな、おまえ。俺に盾突く女、初めて見たわ。マジでテストがんばれよ。おまえは、俺のお気に入りになったんだから。合格しねぇと許さねぇからな」
男はそれだけ言うと、部室から出て行った。
なにあれ。
自己中男だなっ。
あんな男はどーでもいい。あたしが会いたいのは…―
「杏奈?」
この声…。
「健太先輩!」
「よぉ。マジで陸上部来てくれたんだな」
「はい!健太先輩と約束したから」
健太先輩こそ、あたしの会いたかった人。そして、あたしの…―すきな人。
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