すきじゃない。大すきだ。

出会い

「じゃ、俺そろそろ行くな。もうすぐテスト始まるし、杏奈もグランド行った方がいいんじゃない？」

「はい！」

あたしは気合い十分で返事した。

「がんばれよ」

そう言いながら先輩があたしの頭の上にポンと手をおいた。

「は、はい。絶対合格しますから」

「うん、杏奈ならできるよ。じゃぁね」

先輩はどこかへ行ってしまったけど、あたしはまだ動けずにいた。

―かっこいい…。
先輩と一緒に、陸上したいな。

あたしは頭の上を押さえながら少し笑った。

さっき先輩が、なでなでしてくれた。
嬉しいっ。

先輩、あたし頑張る。合格して先輩と一緒に陸上するんだ。

あたしは笑顔で部室を出た。