二人の敬ちゃん

公園へ

　次の日も敬太郎は、学校から帰宅すると、
ビニール袋を持って公園に出掛けようとしています。玄関まで行って靴を履き替えながら
「あっ、しまった」
　そう言って自分の部屋に引き返して、何かを持って来ました。パパから貰った真赤な剣玉です。
「ママーっ、公園に言ってくるね」
「はーい。気をつけるのよ」
　ママは、台所で晩御飯の支度をしながら返事をしました。そして玄関のドアが閉まる音を聞いてから、出掛ける準備を始めました。敬太郎が公園で何をしているのかをこっそり見に行くつもりなのです。
　今度はママが玄関で靴を履いていると
『プルルルルルル、プルルルルルル』
電話が掛かって来てしまいました。
「困ったわ。急いでいるのに」
　ママは、そう呟いて、居間に引き返してしまいました。