公園で

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そこに、ママが駆け寄ってきました。 「敬ちゃん、何かあったの?今のお兄さんは誰?」 「敬ちゃん」  敬太郎が答えました。 「えっ」  ママはキョトンとした顔をしています。敬太郎は足元の剣玉を拾い上げると、ママの手を取って、 「何でもないよ。大丈夫だから。それより、僕お腹が空いたよ。早く帰ろう」  ママは敬太郎の頭に手を乗せると 「敬ちゃん、何か有ったら、直に言うのよ」  そう、優しく言いました。  二人は散らかっているゴミをもう一度拾い直して、手を繋いで家に帰りました。  帰ってからママは、敬太郎に何度も尋ねようと思いましたが、止めておきました。公園で何かがあった事は確かです。でも、敬太郎がそれを隠しているのには、きっと理由がある筈です。だから何も聞きませんでした。ただ寝る前にもう一度、優しい声で 「敬ちゃん、何か困った事が起きたら、ママかパパにお話ししてね」  そう言っただけでした。
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